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報道記録
報道年月日 2022/02/23
報道機関名 日本経済新聞
会員名 脱炭素
タイトル 脱炭素素材で広がる 日本、電力コスト課題に
報道記録の内容  二酸化炭素(CO2)を実質的に出さずにつくる素材が広がってきた。日本製鉄系は特殊鋼の出荷を始め、三菱ケミカルホールディングス(HD)は車部品向けに開発する。自動車会社などは調達網全体の実質排出ゼロを目指しており、素材各社も対応を急ぐ。製造時のCO2削減の動きはあるがゼロは珍しい。現状では再生可能エネルギーを使う事例も多く、日本では割高な再生エネ由来の電力代が課題となる。

 三菱ケミカルHDは自動車部品や建材などに使う汎用樹脂の原料となるMMA(メチルメタクリレート)でCO2排出量の実質ゼロに取り組む。主原料の一つを外部から調達した植物由来原料に置き換える。新しい触媒の開発などを進め、26年の商業生産を目指す。
 原料となる植物の生育過程でのCO2吸収量をMMA製造時の排出量が同じとなり、実質ゼロになると試算する。植物由来原料を使ったMMAの事業化は世界で初めてとみられる。MMAは自動車のランプカバーや建材などに使い、世界需要は年360万トンを超える。三菱ケミカルHDは世界シェア4割を持つ首位で、会社全体の売り上げ収益の約1割を占める。
 植物由来原料を使うMMAは従来品に比べ割高になるが「欧州でとにかくバイオ由来のものを持ってきてほしいとの要望が相次いでいる」(同社)。価格競争が激しくなるなか環境対応を切り口に取引拡大につなげる。
 22日は植物由来原料を使い製造時のCO2排出量が実質ゼロの樹脂を手がける米リングローブに出資したと発表した。出資額は数億円のもよう。
 樹脂は麻の一種「亜麻」の繊維と石油由来プラスチックを混ぜてつくる。亜麻の生育過程でのCO2吸収量はプラスチックと混ぜる工程などで発生する排出量を上回るという。両社は社内部のインパネ用材料で22年内の事業化を目指す。
 温暖化ガス排出の実質ゼロを掲げる国・地域が増えるなか、調達網全体の脱炭素を目指す事例が増えている。ホンダは主な部品会社にCO2排出量を50年に実質ゼロにするよう要請した。独フォルクスワーゲンは一部の電気自動車について製造時の実質ゼロを部品会社に義務付ける取り組みを始めた。
 国際エネルギー機関(IEA)によると世界の産業部門のCO2排出量のうち鉄鋼が占める比率は約30%と最多で、化学も約13%だ。調達網全体での脱炭素には川上に位置する素材の排出削減が欠かせず、素材各社は取引先の選別に応えるために対応を急いでいる。
 素材は製造時の脱炭素が難しいとされていた。プラスチックや鋼材などは一般的に化学反応や原料を溶かすために大量の熱を必要とするからだ。鋼材は製造時に石炭を多く使う。
 抜本的な解決策として日鉄などは石炭を水素に置き換える製鉄法の実用化に取り組む。独シーメンス・エナジーなどが電気で化学反応を制御する技術を開発している。もっともこうした製法転換には時間がかかる。そのため足元では再生エネ由来の電力やCO2排出枠取引の活用が広がる。
 米国の電炉最大手のニューコアは22年、米ゼネラル・モーターズに製造時のCO2排出が実質ゼロの鋼材の出荷を始めた。原料の鉄スクラップを溶かす工程などで再生エネ由来の電力を使い、温暖化ガスの削減効果を取引するカーボンクレジットも使う。
 日鉄子会社の山陽特殊製鋼傘下のオバコ(スウェーデン)も1月、実質ゼロの特殊鋼の出荷を始めた。自動車や建設機械などでの利用を見込む。再生エネとカーボンクレジットを使う。
 日本の素材企業が脱炭素を進めるうえでハードルとなるのが電源構成だ。日本は19年度時点でCO2を排出しない再生エネは18%、原子力は6%にとどまる。電炉の電力消費量は国内全体の1%強を占める。単純計算で再生エネ由来の約5%を使うため、ほかの産業や家庭分野が再生エネの利用を増やせば、需給が不安定になるおそれがある。
 再生エネのコストも課題だ。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、20年時点での日本の陸上風力発電コストは1キロワット時当たり0.096ドル。欧州では英国が同0.052ドル、スウェーデンが同0.04ドルと日本を大きく下回る。
 製品出荷額から原材料費などのコストを引いた付加価値額をみると「化学工業」は日本全体の11.5%を占める。自動車などの「輸送用機械器具製造業」(16.7%)に次ぐ2位で、「鉄鋼業」も3.0%だ。環境対応への遅れを理由に素材の出荷が減れば、日本の産業競争力の低下につながりかねない。素材段階から脱炭素を進めるには必要なコスト負担などを巡り国も巻き込んだ議論が求められる。


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