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報道記録
報道年月日 2007/07/11
報道機関名 読売新聞
会員名 トクヤマ・東芝燃料電池システム
タイトル コンビナートの水素を家庭で活用、モデル事業始まる
報道記録の内容 <読売新聞ルポタージュ2007 H17.7.11>
コンビナートの水素を家庭で活用、モデル事業始まる
…山口・周南

 国内有数の石油化学コンビナートが形成されている山口県の瀬戸内海沿岸。その中核を担う周南市の工場周辺住宅地で、コンビナートから発生する水素によって家庭用の電気と温水を作り出す水素タウンモデル事業が始まった。

 地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量削減を目指し、次世代エネルギーとしての普及の可能性を探る息の長い取り組みの第一歩だ。現場を歩いた。

 ◆燃料電池1000万円超

 住宅の庭先に設置された水素供給燃料電池(山口県周南市で) 周南市の総合化学メーカー・トクヤマ徳山製造所近くにある2軒の住宅の屋外に、水素供給燃料電池(幅約1メートル、奥行き0・4メートル、高さ約1・9メートル)がそれぞれ設置されている。1基は1000万円を超える。

 この燃料電池には、同製造所で発生した水素が地中に埋設した延長約300メートルのパイプラインを通じて送り込まれている。ただ、すべての電気や熱が賄えるわけではなく、足りない分は電力会社やガス会社から電気やガスを買う。

 平日の午前9時。2軒のうち、近隣の市の半導体工場で働く男性(39)宅を訪ねた。中学3年の長女は登校後で、妻も勤めに出るところだった。男性の職場は3交代制で、この日の出勤時間は午後3時半。これから風呂に入り、食事と犬の散歩をして、3時間ほど仮眠を取るという

 「勤務時間帯が1週間サイクルで変わるし、年ごろの娘もいるので、いろんな時間に風呂やシャワーを使う。電気代やガス代が案外かかる」と男性。2004年秋、県などが、同モデル事業への協力家庭を募集する文書を一帯の約80世帯に配った際、「電気代などが安くなるなら」と応募した。

 水素供給燃料電池を使い始めたのは今年4月。「生活ぶりは変わらないのに、確かに電気代とガス代は安くなった」。男性は、電気とガスの料金を昨年と比較した紙を見せてくれた。

 4月の電気料金は6845円で、昨年4月の9003円に比べ24%減。今年5月のガス料金は7774円で、昨年5月より33%安くなった。燃料電池は調整段階で、水素発電の割合はさらに高まることが期待できる。男性は「夏にエアコンを使ってどれぐらい安くなるか楽しみ。年間にすれば大きい」と笑顔を見せた。

 庭の燃料電池を見せてもらった。音は非常に静かだ。下部から黒いプラスチックの細い管3本が延びている。「時々、この管からポタポタと水が排出される。水素発電でできたもので、クリーンさを実感する」と男性。

 しかし、モデル事業が終了する3年後が問題という。「今度は急に電気代などが跳ね上がる。反動が怖い」というわけだ。男性は実用化を願いつつも、「灯油やガスと同じぐらいコストが下がらないと難しいのでは。あと何十年かかるか」とさめている。

 ◆塩水を電気分解

 2日後、水素が生成されるトクヤマ徳山製造所を見学した。敷地内の一角に、高さが10メートル近くある白い山が見えた。「メキシコやオーストラリアで海水から作った塩の山です」。工場管理部主席の内山智さん(54)が説明してくれた。「あの塩を水に溶かして電気分解すると、カセイソーダと水素、塩素ができます」

 近くの建屋の2階部分に案内された。塩水の電気分解を行う電解槽が28槽並び、24時間稼働している。何本も並んだ白いフッ素樹脂のチューブ(長さ約1メートル)の中を流れているのが、カセイソーダと水素だ。1時間に発生する水素の量は1万7000立方メートル。電解槽の内部は90度あるといい、近寄るとムッとする暑さだった。

 山口県環境政策課の04年のまとめでは、同県内のカセイソーダ工場などが発生させることが可能な水素の量(実際には発生させていない潜在的な量を含む)は年に約8・9億立方メートル(全国の14%)で、都道府県別では1位だ。

 製造所内を縫うように走るパイプラインが地中に潜る地点に移動した。クリーンエネルギーと言われる水素だが、内山さんは「水素自体はクリーンでも、水素を発生させる電気分解に使う電気は、自家発電所で石炭を燃やしてつくったもの。あまり威張れない」と話す。

 水素を発生させる電気をすべて太陽光や風力、水力といった天然エネルギーでつくることについて、内山さんは、「日本では無理だし、簡単にそういう社会が来るとは思えない。でも、いつ技術革新があるかわからない」とみる。トクヤマはそうした時に備えてモデル事業に協力しているという。

 ◆実用化は遠い未来

 県環境政策課環境政策班主任の桜井晋次郎さん(41)は、国土交通省が集合住宅で水素供給燃料電池を活用する研究を行っていることを挙げ、「こうした研究の実用化に、水素タウンモデル事業が役立てばいい」と話す。

 正直なところ、水素タウンが現実のものとなるのは、かなり遠い未来だろうと感じた。だが、内山さんが言うように、官民がそれぞれの立場で将来を見据え、今できることを続けることが重要ではないか。そういう姿勢が人類の夢をつなぎ、ある時、画期的な技術が開発されて人々の生活を一変させるのだろう。水素タウンを見てみたくなった。丸茂克浩

【水素タウンモデル事業】
 山口県などが産学官の連携で進める「水素フロンティア山口推進構想」の一環。コンビナートで発生する水素をパイプラインで家庭に送り、水素供給燃料電池で空気中の酸素と反応させて発電する。発電時に発生する熱で温水もつくるが、コスト面など実用化へのハードルは高い。周南市でのモデル事業では、燃料電池1基あたり1時間に0.8立方メートルの水素が供給され、最大で毎時700ワットの発電が可能。家庭で使用するエネルギーの80%を賄うことを目標にしている。施設整備費は約8800万円。
関連URL

(1)読売新聞ルポツタージュ(別ウィンドウ)

(2)周南市HP(別ウィンドウ)

 
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