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報道記録
報道年月日 2016/08/26
報道機関名 日本経済新聞
会員名 ㈱トクヤマ徳山製造所
タイトル セメント、地盤固まるか 太平洋セメ 供給力2割増 トクヤマ 設備再稼働
報道記録の内容 販売量、プラス転換の兆し 東京五輪に期待感

前年実績割れが1年以上続いてきた国内のセメント販売に、2020年開催の東京五輪の特需が出てきた。「先行指標」の動きから9月にも販売がプラスに転じる可能性が強まっている。セメント各杜も動き始めた。
東京都の湾岸にある太平洋セメントの出荷拠点。巨大な円筒形の貯蔵庫が建ち並び、日本各地から船で大量のセメントが運び込まれてくる。首都圏の工事現場にセメントを運ぶトラックが行き交う敷地の一角で、新たにクリーム色をした貯蔵庫の建設が進んでいる。
首都圈での供給能力を2割引き上げることを決めた。同社担当者は「顧客の引き合いが増えている。ついに五輪需要が動き出しそう」と話す。
トクヤマは徳山製造所で休止中の製造設備1基を再稼働させる。首都圈ではセメントの配送車を増やし始めた。
セメント協会が25日発表した7月のセメントの国内販売は前年同月比4 パーセント減の360万トン。東日本大震災の復興需要が一段落したのちは地方での販売が低迷し、13ヵ月連続でマイナスになった。 だが、セメント協会の不死原正文流通委員長は「9月以降はプラスになり年明けは大幅増が見込める」と言い切る。.自信の理由は先行指標である「地盤改良材」の販売が劇的に改善したことだ。
地盤改良材は施設を建設する前に、土を固めて地盤を丈夫にするために使う。だからセメントより2~3カ月早く出荷される。マイナスが続いていた地盤改良材の販売が6月には8パーセント増とプラスに転換。7月は15パーセント増と2カ月連続で増えた。
セメント販売のけん引役になるのが20年の東京五輪だ。施設や道路の整備がこれから本格化する。メーンスタジアムの新国立競技場(東京・新宿)は今年12月に着工予定だ。選手村や競技場といった直接の五輪特需は年数十万トン。ホテルなども含めると年130万トンとの試算があり、全体を3%前後押し上げる。関連の道路整備を加えるとさらに増える見込み。
ただ、セメント各社は浮かれているわけではない。1964年の東京五輪やバブル景気の特需後、能力を増強した工場が需要の反動減でリストラに追い込まれた。20年の東京五輸後も反動減が見込まれるうえ、前回とは違い日本の人口は減少局面に入つている。
セメント各社の間では、これまでのように生産設備を大きく増やすような動きはみられない。 既にある設備や拠点を生かし、最小限の投資で対応する。
世界に目を転じれば、セメント首位を争う欧2 社が合併するなど大型再編が進む。国内向けが大半の日本各社も、特需で一息ついている間に世界で戦える企業へ、脱皮できるかが問われる。
(下野一実)
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