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報道年月日 |
2017/01/01 |
報道機関名 |
宇部日報 |
会員名 |
宇部興産㈱ |
タイトル |
新春インタビュー 山本謙社長 創業120周年の節目 学術振興財団を充実 科学技術、医学者を支援 |
報道記録の内容 |
2016年は、英国のEU離脱に始まり、米大統領選でのトランプさんの勝利など、国際経済に大きな影響を与える出来事が相次いだ。そして迎える17年の経済状況は、国際的にも国内的にも先行き不透明感は否めない。そのような中で、地元を代表する大手化学メーカー、宇部興産の動向は、地場経済活性化の大きな鍵となる。山本謙社長に、内外の経済情勢を踏まえ、中期経営計画の2年目となる今年の展望などを聞いた。(久保)
電気自動車対応積極的に 材料メーカーとしてニーズに対応
―昨年は新しい中期経営計画を策定されましたが、中間決算を踏まえ、業績についての所見と計画初年度の進み具合、手ごたえをお聞かせください。
〈山本社長〉初年度の進捗(しんちょく)はほぼ計画通りで、それが中間決算の形で表れたと考えています。当初の想定と違っていたのは、思った以上に円高になったこと。年末は、米大統領選挙の影響で円安に振れていますが、これも実体経済に伴った形での状況ではなく、ある意味、期待値的な為替相場だと思っています。年間通して、思った以上に円高の影響を受けました。
―部門別で見るとどうでしょうか。
〈山本社長〉為替の影響を最も受けるのが化学と機械です。化学はもともと、16年は宇部アンモニア工場の定期修理の年ということもあって、利益はそれほど出ないだろうという予測はできていました。一方で、リチウムイオンバッテリー関連は、環境負荷の観点から世界的に見ても、電気自動車(EV)へ本格的にシフトするだろうという流れになっており、特に中国での需要が大幅に伸びたこともあって、電解液、セパレーターともに出荷量は大幅に伸びました。競争も激しいのですが、17年もこの流れを継続させていきたい。
バッテリー性能というのは、われわれが担う材料分野だけではなく、システムなどを含めた全体部分もどんどん進化していきます。消費者の要求を少しでも満たしたところが勝ち組になっていくでしょう。材料メーカーとして、電池メー力ーや自動車メーカーのニーズに対応していくことができれば、大幅に売り上げ、利益を伸ばすことができると思います。
楽観視できないセメントの需要
―他部門はどうでしょうか。
〈山本社長〉建設資材のセメントは、ここ数年、国内需要が下降線でした。東京五輸の需要を含めて16年は多少でも持ち直すかなと思っていましたが、さらに前年対比で減少となったことは想定外でした。今後は東京五輸で、需要はある程度は持ち直すでしょうが、工法が変化していることもあって、一つの建設工事をしていくうえでセメントの使用量は昔ほど多くありません。また建設業者の相対的な人手不足の影響もあって、工期や着工がずれている傾向にあります。経営側からすると、これからの需要も楽観できる状況ではないと感じています。
―17年はどのような年になるのでしょうか。
〈山本社長〉新しい中期経営計画を立てた16年は、特に化学部門においては、スぺインでのナイロン増産、宇部でのラクタム中間原料製法転換や大粒硫安増産、堺でのセパレーター増産などを決めた年。17年はそれを形にする年です。そして、それぞれの新設備が稼働しはじめる計画最終年の18年に成果を上げていくことになります。
建設資材、エネルギー・環境は、化学部門よりも長いスパンで考えるので、17年は次の中期経営計画で成果が出るような投資に着手する年になると考えています。
難しい経済動向 円高振れは覚悟
―l6年は英国のEU離脱、米大統領選など、国際経済に大きな影響を与える出来事がありました。17年の経済動向について、どうお考えでしょうか。また会社への影響についてはどう思っておられますか。
〈山本社長〉経済動向は私が教えてほしいくらいです。ここ数年、専門家の予想も当たらないケースが多いですよね。今年は全く予想もつきません。今は為替・株価とも、トランプさんへの期待で動いていますけど、実態が出てきた時にどうなるかわかりません。
私は、実体経済的にいくと、為替は国の力のバロメーターだと思っています。円高になるということは日本の国力が強いということ。日本の国民性からして、製造業としては、円高に振れていくのではないか。金融政策などが言われていますが、円高に振れていくことは覚悟していかなければならないと思っています。
一番求めることは、為替の安定。1年で1~2パーセントといったゆっくりした変動ならついていけますが、乱高下が一番困りますね。
石炭火力発電所建設は計画通り
―地元でも期待の声が高い山ロ宇部石炭火力発電所建設についての現状はいかがでしょうか。
〈山本社長〉環境と経済的な面のアセスメントを行っている最中で、計画通り進めているという段階です。われわれとしては、先輩方がつくられてきた土地、インフラを活用できるし、立地条件はいいと思っています。
石炭火力の場合、燃料となる石炭の貯炭場と灰処理が大きな問題となりますが、コールセンターを活用することで投資は抑えられ、灰処理もセメントである程度、引き取ることができます。施設が両方とも近くにあるので、非常に物流効率が良い点において競争力は高い。パリ協定で温室効果ガス排出量を実質的にゼロにする長期目標が掲げられ、発電所そのものに効率性が求められている中で、効率のいいものを残さざるを得ないと思います。発電所は、安定的に長く続くものになるので、ぜひ実現したい。
―いよいよ17年は創業120周年です。記念事業など決まっていれば教えてください。
〈山本社長〉110周年の時に作った総合案内施設UBE i Plazaについては、宇部興産という会社を一般の人にPRする大事な場所なので、より一般の人にわかりやすい展示にしようということは考えています。また、内部的な話ですが、100周年の時に100年史を作っていて、携わった方は相当な苦労をされたと思うので、この20年間の歴史については記録を残していこうと思っています。
―他に考えていることはありますか。
〈山本社長〉アイデアとしてあるのは社会貢献で、宇部興産学術振興財団への寄付です。財団の活動は、基本的には正味財産の運用利益で行っています。100周年、110周年の時も、正味財産の充実をしてきていたのですが、今回はより充実させたい。それが一番貢献できることかなと考えています。
財団は企業活動とは全く関係なく、科学技術の幅広い分野、さらに医学の若手を支援するというのが基本的な設立の考え方なので、若い研究者を支えるという投資です。活動を続けることが大事なので、何らかの手伝いをすることが必要かなと思っています。
日本フィル公演継続 若い人たちの来場期待
―日本フィルハーモニー交響楽団のチャリティーコンサートも今年で10周年を迎えますが。
〈山本社長〉学術振興財団への支援は日本の若手研究者に向けての支援ですが、チャリティーコンサートは宇部市の文化芸術支援と考えています。これも続けることが大事だと考えていて、何とか10年続けることができました。フルオーケストラの地方公演は、興行的に成り立たないので、貴重な機会だと思っています。課題は来場者の平均年齢を下げていくこと。若い人や子どもたちにもっと来ていただければうれしいですね。
―ご自身も非常にお忙しいとは思うのですが、趣味などの時間は取れていますか?
〈山本社長〉農業(家庭菜園)ができなくなりましたね。息抜きは美術館巡り、コンサートに行くことですね。ゴルフは仕事の一つになりました。 |
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