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報道記録
報道年月日 2017/03/07
報道機関名 日本経済新聞
会員名 日進工業㈱
タイトル 微細な泡利用 環境に配慮 水処理システム一括受託 日進工業、工場排水や養殖用
報道記録の内容 プラント開発の日進工業(山口県下松市)は、直径0.1ミリメートル以下の微細な泡「ファインバブル」を用いた水処理システムを事業化する。工場排水や廃液にファインバブルを吹き込んで油分を分離する処理や、養殖で使う酸素水を生成するシステムなどを売り込む。装置の設計から開発、設置まで請け負う。新事業で5年で30億円の売り上げを目指す。
2013年から山口大学大学院理工学研究科、久留米高専機械工学科と共同で開発、このほど容量1キロリットルのモデル装置を完成した。排水を入れる水槽部分に多段階の仕切りを設けるなど独自技術があり、実用新案申請中。同社はこれまで排水処理プラントでの実績があり、新技術のファインバブルに着目して技術開発を進めてきた。
ファインバブルは直径1ナノ(ナノは10億分の1)メートルから0.1ミリメートルまでの微細な泡を指す。油分と水分の分離は薬剤による処理や活性炭による吸着などの手法があるが、物理的な処理であるファインバブル方式は環境に配慮し、ランニングコストが安いメリットがあって注目されている。
原理は、油分が同じ大きさの分子と結びつきやすく、空気は空気同士で結びつきやすい性質を利用する。まず水中に混ざった油分と同程度の大きさの空気泡を発生させて油分を吸着させ、その泡がもっと大きな空気泡とくっつくことで早く浮き上がり、容易に分離できる。
装置の性能は10リットルの油が混じった水から1時間で95パーセントの油分除去、連続式で濃度100PPMの油が混じった水から常時90パーセントの油分除去が実現できたという。システムはすでに5件程度の注文があり、今後100件の受注を目指す。
日進エ業は対象となる排水や処理目的から必要な大きさのファインバブルを計算し、機械を設計する。ファインバブル発生装置はバブルタンク(山口県字部市)、ナノプラネット研究所(大分県国東市)など数社の製品を使う。目的は油水分離、水質浄化のほか、工場の洗浄廃液処理や食品会社の洗浄工程が中心になるとみられる。用途に応じて石油会社には成分分離に効果的なオゾンバブル、植物工場には成長を促進する窒素バブル、養殖には病気予防の酸素バブルなど気体を使い分ける。
弘中美光社長は「気体を長時間、大量に混入させることができる技術で、応用範囲は医療分野はじめ大きい」とみて、さらに用途開拓を進める。日進工業の16年6月期の売上高は約15億円。
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