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やまぐちエコ市場事務局
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〒753-8501
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報道記録
報道年月日 2007/06/26
報道機関名 山口経済新聞
会員名 澤産業
タイトル オンリーワン技術で健康&エコ市場を拓くゼロからの成功 澤野社長のチャレンジ道
報道記録の内容 【ビジネス特集】
オンリーワン技術で健康&エコ市場を拓く
ゼロからの成功 澤野社長のチャレンジ道

 のどかな農村地帯・宇部市船木でバイオ技術の研究に取り組む企業「澤産業」が、健康志向や環境問題を追い風に世界の注目を集めている。同社の澤野悦雄社長(78)は、これまで産業廃棄物として捨てられていた豆腐の絞りかす「オカラ」を酵素分解で「オカラ乳」に変え、豆腐の原料として再利用することに成功。今年3月には「機能性オカラ乳の製造方法」で特許を取得した。原料を丸ごと分解するためゴミが出ず、栄養素もそのまま。さらに、あらゆる食品への応用が可能なこのスーパーテクノロジーに、大手食品メーカーなどから問い合わせが相次いでいる。高校教師から一転、病気療養のため移り住んだ異郷の地で歩み始めた事業家人生。偉業を成した今もなお、新技術の研究に余念がない澤野社長に、これまでの経営の道のりを聞かせていただいた。

■逆境の中で運が味方してくれた

 防府出身の澤野社長は終戦後、郷里の私学、三田尻女子高校(現・誠英高校)で教員をしながら、バレーボール指導に燃えていた。ところが、20歳代で結核を患い、療養のため親族のいる船木へ一人で移住。若くして人生の挫折を味わった。「病気でしたからね。ここにやってきた当時は無一文同然。リハビリを兼ねてできることと言ったら、まったく経験のない農業しかありませんでした。ただ幸運なことに、その頃ちょうど役場で養鶏用のヒナの飼育を勧められて。育ったヒナは役場が買い上げてくれましたから何とか暮らしも安定し、空気の良いところで畑を耕しているうちに、体の方も良くなっていきました」。新天地で健康を取り戻し、生計も立つようになった。しかし、資本がないため借り入れができず、農場は一向に拡大できないない。将来に行き詰まりを感じる中、澤野社長は一つの転機を迎える。「貧しい身分でしたが、農業青年団体の会長をやっていた関係で農水省の諮問機関の委員に任命され、会議のため東京にたびたび足を運んでいました。ある時会議場で、省庁の担当課長に何か良い仕事はないだろうかと相談すると、食糧庁の局長に引き合わせてくれたのです。偶然にも局長は山口出身の方で、穀物などを入れる袋を製造しなさいと快くアドバイスをくださった。本当に幸運でした」。さっそく澤野社長は、行政認可を受けて包装容器の製造販売に乗り出し、1966年に有限会社・澤産業を創業した。

■先見力の複合経営が未来に生きる

 農業青年の中核リーダーだった澤野社長のもとに、ある日役場幹部が相談を持ちかけた。お茶栽培を地元の新たな産業にしたいので、青年たちの力を借りたいという。県内では宇部市小野がお茶所として有名だが、いち早く栽培に取り組んだのは実は旧楠町。舵取り役となった澤野社長は、青年たちを先進地の静岡に送り出しては技術を持ち帰り、着々と産地化を進めていった。町営加工場の管理者にもなったが、製造はできても販路が開けていない。そこで1975年に、自らお茶の販売会社・山口銘茶本舗を設立し、事業を拡大。「時は経済成長期、産業界はめまぐるしく変化していました。特に包装容器は、材質も規格もどんどん変わり、大量生産による価格競争の波も押し寄せていた。そこで私はこの業界に見切りをつけ、お茶を基幹事業に据えることにしたのです。ただし、所詮は小規模事業所。いずれペットボトル製品に押されるのは目に見えていました」。澤野社長は20年ほど前に、ITやセラミックと並ぶ先端産業でありながら、ビジネスに立ち後れていたバイオテクノロジーに目をつけた。大学に通って勉強と研究を重ね、50歳代にして植物の単細胞化技術の開発に成功。酵素を使って素材の有効成分を細胞単位で取り出すという、独自のバイオ技術を手に入れた。

■新たな発想と好奇心を忘れない

 「お茶を抽出した後の茶がらには、水に溶けないビタミンAやビタミンE、食物繊維など、すばらしい栄養素が豊富に残っています。これら現代人に不足しがちといわれる成分を、あっさり捨てるなんてもったいない。そこで、このバイオ技術を用いて茶葉を細かい粉状にし、湯水に溶いて飲んだり、菓子や料理に混ぜて食べられるようにしたのがバイオ粉末茶『花緑寿』です。機械的に茶葉をすりつぶす抹茶と違い、バイオ粉末茶は細胞を壊すことなく成分を取り出せるので、酸化せず、栄養価も変わらない。その上、原料を丸ごと加工するのでゴミも出ません」。澤野社長が考え出したお茶の新しいアプローチは、1996年に県の振興賞を受賞した。健康と環境、二つの問題を同時解決できるバイオテクノロジーにビジネスの将来性を感じ、新技術の開発や精密機械の製作に没頭していった澤野社長。時間と労力、資金を費やすわりにバイオ事業に対する市場の反応は薄かったが、産業廃棄物として大量に処分されてきた食品「オカラ」に目をつけたことでチャンスが巡ってきた。

■“オカラ乳”に脚光 技術提携を経営の柱に

 「オカラは俗にいう豆腐の搾りかすですが、食物繊維が多く栄養も満点。すべては発想の転換です」。豆腐をつくる際に必ず出るオカラは、家畜飼料に約4割、食品加工にたったの2%使われるだけで、約6割が廃棄処分。処理費も1トン当たり1〜3万円もかかる。澤野社長はこれを逆手に取り、バイオ技術で大豆を丸ごと豆乳にしようと考えたのだ。ところが、大豆の乳化はできたものの、肝心の豆腐が固まらない。そこで今度は、大豆を豆乳とオカラに別け、オカラを乳化させる酵素を開発して分解。試行錯誤の結果生み出したのが、時の話題を集めた「オカラ乳」だ。特に、オカラ乳と豆乳を混合して凝固させた「大豆まるごと豆腐」は、通常の豆腐が持ち合わせない食物繊維などの栄養素を多く含む上、これまで捨てられていたオカラを使うことで材料の減量化が図れる利点から、人と地球にやさしいヘルシー&エコロジー食品として一躍脚光を浴びた。この独自技術は、日本だけでなく、米国、台湾でも特許を取得。澤野社長はバイオ食品のパイオニアの地位を不動のものにした。「当社では自社製品の製造販売を控え、研究開発に重点を置いています。今では、他の企業との共同研究やライセンス契約が事業の柱」。国内はもとより韓国の企業ともライセンス契約を締結。中国、台湾、アメリカの企業との契約交渉も進められている。

■「やまぐちエコ市場」の第1号商品も

 県内外の民間企業が、環境系の技術・製品情報をウェブサイトで発信しながら企業マッチングを図る全国初の環境ビジネスマーケット「やまぐちエコ市場」でも、澤野社長のバイオ技術が光った。サイトの開設から半年が経過した今年3月、商品化第1号を飾った化粧せっけん「おからのちから」(800円)は、同社、宇部マテリアルズ(宇部市)、ぴーすケア(兵庫県)、日本計画機構(東京都)の4社共同開発によるもの。その主役となったのがオカラ乳の技術だ。「限りある資源を有効活用し、廃棄物をなくすゼロエミッションの取り組みは当社のテーマでもあります。さらに技術開発を進め、さまざまな角度から環境問題の解決にアプローチしたい」。原料のオカラ乳に植物性油脂を混ぜて釜き、自然乾燥させるという昔ながらの製法でできた無添加せっけんは、大豆に含まれるイソフラボンの効果で美肌や保湿効果が高く、泡立ちも良くてツルツルになると評判だ。

■技術開発はエンドレス、死ぬまで現役

 教育現場から農業の世界へ飛び込み、容器包装とお茶の製造販売を経て、現在はバイオ研究の最前線に。変遷の道を歩んできた澤野社長は「先見の目を持つと同時に、想像力を働かせることが大事。いま20歳代に戻れたならどんなに良いか。やりたいことはまだ山ほどあります」と好奇心旺盛な眼差しを輝かせる。澤野社長のバイオ技術は、パン、めん類、乳製品などにも進出中。最近では、素材が持つ炭水化物を酵素で糖化させ、砂糖を一切加えずに甘みを出す特殊技術もあみ出した。「環境と食は21世紀のキーワード。素材を丸ごと消化できれば、まず資源の無駄をなくせますし、食品価格が高騰した場合などの回避策としても使えます。究極は地球資源の循環。バイオテクノロジーによる、新たな自然界エネルギーの開発にまでこぎ着ければ最高ですが」と壮大な夢を語る。絶対の競争力を持つオンリーワン技術を武器に、最先端バイオビジネスのあくなき挑戦は続く。
 
関連URL

(1)山口経済新聞HP(別ウィンドウ)

(2)澤産業(別ウィンドウ)

 
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