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報道年月日 |
2021/10/08 |
報道機関名 |
日本経済新聞 |
会員名 |
エネオス |
タイトル |
脱炭素へ業態転換 ENEOS買収 需要減に危機感 |
報道記録の内容 |
ENEOSホールディングスの巨額買収は、脱炭素に対応する時間を買うためだ。本業の石油事業は逆風に直面、「2040年には国内需要は半減する」(ENEOS幹部)との危機感がある。油田の権益などを売った資金で再生可能エネルギーを買い、生き残りへの業態転換を急ぐ。
買収する再生可能エネルギー新興のジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)が、足元で稼働させている発電所の出力は計40万キロワット超と、中小型の火力発電所1基分にすぎない。
その企業に2000億円程度も投じるのはなぜか。ヒントが経済産業省の資料にある。
JREが秋田県の八峰能代沖で計画する洋上風力発電所の投資は、建設や運転期間(20年と想定)の維持費、撤去費など合計でおよそ3500億円程度かかる。一方で収入を試算すると、売電価格を政府が上限として示す1キロワット時28円、運転期間を20年とすると、売電収入が5000億円を超える。
単純な収支は1千億円を超える。JREは秋田県だけでなく、長崎県でも洋上風力発電所を建てる計画を持ち、北海道でも開発に乗り出す。有望な種を持つことを考えれば、巨額買収のもとは十分とれるとENEOSは判断した。
買収交渉では、大手自動車メーカーや商社、都市ガス大手や電力大手、外資系ファンドなども入札に参加、「業種の垣根を越えた争奪戦の様相を呈していた」(入札に応じた企業の幹部)。
その中でENEOSが競り勝ったのは、それだけ切迫感が強かったからだ。脱炭素の対応に遅れると一気に市場からふるい落とされる懸念が強まり、世界のエネルギー企業は業態転換を迫られている。
欧米企業は化石燃料に依存する「旧エネ」から、再生エネを主力とする「新エネ」への脱却で日本企業の一歩先を行く。デンマークのオーステッドは08年ごろから石油・ガスから洋上風力に事業の柱をシフト。スペインの電力大手、イベルドローラはM&A(合併・買収)を通じて風力発電を急拡大し、欧州や南米、オーストラリアにも進出する。
ENEOSも5月に23年3月期までの中期経営計画を見直し、事業撤退とM&Aを通じた事業の組み替えを急ぐ。新中計では油田の権益などを売って2200億円の現金を創出し、再生エネや水素などに4000億円を投じる。6月には再生エネ投資を拡充するため、3000億円の社債発行も決めた。
今回の買収で再生エネ電源は、今の約10万キロワットから約100万キロワット規模まで増える。
再生エネの確保はENEOSが脱炭素戦略の中核に位置付ける水素にも役立つ。水素と二酸化炭素からつくる合成燃料は石油の代替燃料として仕え、給油所など既存のインフラを生かしやすい。水を電気分解してつくる水素を、カーボンフリーで生産するには安い再生エネの安定調達が欠かせないからだ。JREは洋上風力での世界展開の切り札としての期待もある。
世界風力会議(GWEC)によると20年までに導入された洋上風力は、欧州が2500万キロワットと世界の約7割を占める。欧州でのブランド認知度を高めようと、ENEOSは8月、イタリアのプロサッカーリーグ(セリエA)のACミランとスポンサー契約を結んだ。今後はJREのノウハウを生かし、欧州を軸に海外市場への参入も視野に入れる。
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