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報道年月日 |
2021/10/12 |
報道機関名 |
日本経済新聞 |
会員名 |
日本製紙 |
タイトル |
進歩するリサイクル技術 生分解性プラ拡大、紙にも商機 |
報道記録の内容 |
プラスチック廃棄物の削減につながるリサイクル技術や代替素材の開発、実用化が進んでいる。使用済みプラを高度処理する「ケミカルリサイクル」工場が稼働し、生分解性プラ事業の拡大で商機をたぐりよせる動きもある。海洋汚染やサーキュラーエコノミー(循環型経済)への関心の高まりを背景に自治体は「廃プラゼロ」機運を醸成、生産と消費の現場が変わろうとしている。
資源リサイクル事業スタートアップ、日本環境設計の子会社が今夏、本社を置く川崎市で試運転を始めた工場は、ペットボトルの完全リサイクルに向けた事業拠点として注目されるまだ実用化事例が少ないケミカルリサイクル技術を活用。廃プラを化学反応などでブンシレベルまで分解して洗浄、異物を除去する手法で、材質を保ちながら安定的に再資源化できる。本格的な商用運転開始後は再生材料を飲料メーカーに供給する方針だ。
現在、廃プラを再資源化する技術の主流は、物理的な破砕や洗浄によるマテリアルリサイクルだ。工程を整備してペットボトルをペットボトルに「水平リサイクル」するケースもあるが、一般的な手法だと、着色剤など異物の除去が十分できない課題がある。
再資源化を繰り返す材質が低下するため、材料としての利用方法を変えなければならなくなる。例えばペットボトルは卵パックや繊維の素材にといった具合だ。
一方でケミカルリサイクルにはコスト高の問題があり、これまではガス化事業などに利用されることが多かった。日本環境設計は北九州市でポリエステル繊維のケミカルリサイクルを事業化しており、今後、このノウハウを生かして事業コストの低減を進める構えだ。
印刷インキ製造大手のDICもケミカルリサイクルの事業化の機会をうかがう。食品容器メーカー大手のエフピコと協力して実証実験プラント建設の検討を始めた。
東洋インキグループは再生PET樹脂の色みを補正したり粘性と高めたりする機能性着色剤を、リサイクル事業者向けに製品化している。
印刷インキの業界では、品質の良い再生プラを生産するため、食品の包装や袋材から効率的にインキを除去する技術の実用化に向けた取り組みも進めている。
廃プラ減量トレンドは、環境負荷が低いプラスチック代替素材にも商機をもたらす。
化学大手のカネカは現在、生分解性ポリマー(プラスチック)の生産能力を現状の4倍程度に引き上げることを検討している。「環境技術の高まりを背景に、引き合いが増えている」(Green Planet推進部)という。
自然界に流出しても土中、海中の微生物により最終的には二酸化炭素と水に分解される同社の製品は、化粧品容器やストロー、スプーンなどの素材に採用されている。
三菱ケミカルの生分解性プラスチックも2019年ごろから販売が増加。同社の特長は耐熱性にあり、ドリップ用のコーヒーカプセルや紙コップ内側の表面加工剤が引き合いの中心だ。
代替素材として「紙」も見逃せない。大王製紙は1枚の紙でありながら強度の強い高密度厚紙を開発。耐水・耐油性を加えた製品もそろえ、食品関連用途なども開拓する。
日本製紙は消毒剤の補充用容器として使用する紙パックを開発。特殊な製法により、浸透性が高いアルコールや海面活性剤に対応している。
「今後、世界経済はサーキュラーエコノミーの枠組みづくりが進むので、企業のビジネスモデルもそれに適合させなければならない。環境問題への向き合い方で投資家による選別も進む。企業の背中を押すのは商機だけではない」。廃プラ減量をめぐるビジネス動向について、ニッセイ基礎研究所の中村洋介主任研究員はこう指摘する。
廃プラ削減は企業の取り組みと消費行動がかみ合わなければ成果が上がらない。
民間の調査会社、ドゥ・ハウスが20~60台の男女を対象に実施した20年1月のインターネット調査では、「環境対策としての『脱ブラスチック』という言葉を聞いたことがある」と回答したのは全体の71.6%に及んだ。
一方で、500ミリリットル入りボトル飲料でプラ使用品と非使用品のどちらを買うかを尋ねると、55.2%が「少しでも安い方を選ぶ」と回答。消費者の意識向上が途上にある状況が垣間見えた。
持続可能な地域社会づくりに向けて、自治体の間では住民を巻き込んだ廃プラ削減運動が広がる。
東京都目黒区は域内飲食店に呼びかけ、9月から持ち帰り用の「マイ容器」を持参した来店客に値引き販売する取り組みを進めている。新型コロナ禍で広がるテークアウトサービスでは、飲食店が用意する容器がプラ製であることが多いためだ。
栃木県は19年に県内25市町とプラごみゼロを共同宣言している。
国も手を打っている。19年に「プラスチック資源循環戦略」を策定した。
今年6月には使い捨てプラスチック製品の使用量削減、再利用を促す新法「プラスチック資源循環促進法」を制定し、35年までに使用済みプラ全量をリサイクルなどで有効利用する目標を掲げている。
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