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報道年月日 |
2022/01/24 |
報道機関名 |
循環経済新聞 |
会員名 |
宇部興産 |
タイトル |
宇部工場で廃プラ処理強化 熱エネ代替の利用を大幅加速 |
報道記録の内容 |
宇部興産は宇部セメント工場に新たな廃プラ処理設備を設置する。すでに社内決定が済み、2022年冬の稼働を目指して整備を行っているところだ。また、伊佐セメント工場内に廃プラ専用の置場を新設。これによりプラント稼働状況による処理状況の増減や、調達元の排出量増減への対応力が強化され、安定的な再資源化体制を築いた。
20年度の廃棄物・副産物使用量は、原料代替で213万トン、熱エネ代替で33万トン、副産物で73万トン、合計319万トンとなった。19年度比では97%。セメント生産1トン当たりの使用原単位は440キログラムだった。
20年度からフル稼働をしている伊佐セメント工場の「廃プラ処理設備Ⅳ期」は順調に稼働し、新設した置場を活用しながら、年間で4万8000トンの熱エネ代替を処理している。同社全体の熱エネルギー代替率は20年時点で19%だが、30年までに30%まで引き上げる方針だ。
廃プラは含有される成分や、異物混入量などによって処理工場を特定している。例えば塩素の含有量が多いものは苅田セメント工場、異物が多く含まれる廃プラ類は伊佐セメント工場で受け入れるなどだ。どの工場でもキルン投入前に前処理を施したうえ、塩素バイパス設備を廃止、廃棄物からの塩素分を積極的にプロセス外に抜き出すことで、セメント品質を維持している。
最近では、高機能素材に炭素繊維などの未燃カーボン類が含まれることは珍しくなく、それら処理困難物の効率的な処理には、セメント工場に持ち込む中間処理業者との連携が需要だ。中間処理業者でも再資源化を意識した意識した動きが広まっており、最新鋭の設備を取り入れるなどして中間処理物の品質向上にも取り組んでいる業者も少なくないため、相互の連携を強化している。一方セメント製造工程では、処理困難物利用による環境影響を抑えるためのバグフィルター等環境設備を増強するなど、環境面にも配慮している。
同社は廃棄物収集能力と培ってきた処理技術の活用による、廃棄物の再資源化事業にも積極的な姿勢を示している。
17年から行っている、廃石膏ボードから再生石膏を作りセメント仕上げ材料として使う事業は堅調に推移。今年は処理能力を最大限に生かし、再生石膏の外部販売を開始する予定だ。
また、下水汚泥を発酵により乾燥させる技術を確立した。これにより、キルンで下水汚泥を非加熱で利用可能となる。この技術を活用し、水処理専門業者、水処理機器業者との共同による、下水発酵乾燥システムの開発に成功した(特許出願中)。さらに、今後廃棄量の増大が予想される太陽電池モジュール(PVパネル)の有効利用を検討しており、こちらもパートナー社との協業による事業化を進めている。
同社は自社発電所においてバイオマス燃料を国内でいち早く採用した先駆者だ。世界的なCO2削減が叫ばれるようになり、その意義が高まっている中で、木質チップなどの使用量をさらに拡大する方針を打ち出している。
同社は今年4月に三菱マテリアルと、セメント生産事業やそれに付随する事業を統合し、「UBE三菱セメント」として新たなスタートを切る。両社が保有する独自の技術を新会社に持ち寄り、さらに両社のネットワークを最大限に活用した幅広い事業体制構築を目指す。
東日本にもセメント生産拠点がある三菱マテリアルと事業を組み合わせることで、廃棄物の処理能力が上がるうえに、物流の仕組みや技術面でのシナジー・連携が期待できる。統合初年の22年は、まずは事業を通じて統合の成果を模索する1年になるとした。
今後はアフターコロナの時代を迎え、経済活動が盛んになると見通す。その分廃棄物の排出も旺盛になると見込まれるが、多様化・複雑化に加えてバーゼル法の省令改正や各産業での脱炭素化など、廃棄物の排出状況だけでなく利用状況にも大きな変化が見られている。同社はセメント工場が期待されている、廃棄物の最終処分施設としての使命を引き続き果たしていくためにも、廃棄物の広域調達も視野に入れている。その時々の環境や経済状況を見越して、何が必要かを常に考えていく方針だ。
建設資材カンパニー資源リサイクル事業部長の村上直毅氏は「CO2削減の重要性が消費者にも浸透することで、社会全体の動きが変化する。今まで簡単に手に入っていた廃棄物が少なくなり、処理困難なものが増えていくことも考えられる。技術や経済合理性だけでなく、広く総合的な視点で判断し、いかに社会に貢献もできる廃棄物処理を実現していくのかが重要だ」と述べている。
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