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報道記録
報道年月日 2022/02/01
報道機関名 中国新聞
会員名 東ソーなど
タイトル 脱炭素に挑む 周南コンビナートから④
報道記録の内容  周南コンビナートの主力企業である総合化学メーカーの東ソーは1月18日、2050年のカーボンニュートラル挑戦を宣言した。温室効果ガス排出量の実質ゼロに向け、22年度から3年間に約600億円を投じる。投資先の大半はコンビナート内にある南陽事業所の自家発電所。石炭から木質バイオマスへの燃料転換に大きくかじを切る。

 事業所には合計出力が77万6千キロワットになる6基の石炭火力があり、東ソーは「電力会社並み」と例える。大量の電気で塩水を分解して造るカセイソーダ生産量は日本一。燃料費が安く済む石炭由来の電気が、最大の強みだった。だた、二酸化炭素(CO2)を含む温室効果ガス排出量は20年度、グループ全体で803万トン。重い課題として跳ね返っている。
 「危機意識は強い。一方で電解が中心の事業所でありCO2削減のために単純に電気を減らせない」土屋和寛主任技師は理解を求める。CO2削減と有効利用のため、同社が昨年6月に設けたチームの一人。使うエネルギーの脱炭素化に取り組む。
 廃材チップなどを使うバイオマスは、樹木の成長過程でCO2を吸収するため、排出ゼロと見なす。東ソーは石炭火力に多くの木質燃料を混ぜられるようにする。当面の焦点は30年度。重い課題となっている温室効果ガス排出量をまず600万トン未満に減らす。
 政府は昨年、国内総発電量のうち20年度に2.9%だったバイオマスの割合を30年度に5%程度に伸ばす目標をエネルギー基本計画で示した。バイオマスを導入する動きはコンビナート内でも広がる。
 同業のトクヤマは23年から、徳山製造所の4基のうち1基をバイオマス専用にする。別の1基は24年以降、石炭と半分ずつ混焼できるようにする方向。出光興産徳山事業所も22年度、バイオマス専用発電所を稼働させる。
 ただ、現状では、燃料をほぼ輸入に頼っている。市は昨年末、地産地消に向けた連携協定を東ソーやトクヤマ、出光と結んだ。15~20年で伐採できる樹種を市有林へ植える事例などを想定し、将来的に民有林にも広げる構想。地元で調達し、循環する脱炭素のモデルを築けないか模索する。
 木質チップの製造に参入する企業も出てきた。建設会社の和泉産業。市の西端の国道2号沿いに18年、チップ化センターを開いた。加工能力は年3万トンで、地元材を扱う。
 元々は採石場。半世紀前から粘土を採掘し、セメントの原料として東ソーに納めてきた。他の原料が使われるようになり、年50万トンあった供給は近年ゼロの年もある。今後はチップの需要増に照準を定める。
 昨年、チップに適さず搬入も年100トンほどしか見込めない街路樹の受け入れを始めた。和泉貴信社長は「利益が出にくい仕事も受け、実績と信頼を積む」と話す。急激な脱炭素に直面する周南コンビナートと、共に歩む地域。それぞれの挑戦が始まっている。

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