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報道記録
報道年月日 2007/09/20
報道機関名 宇部日報
会員名 宇部興産
タイトル バイオマスを燃料化 石炭と混焼させCO2削減
報道記録の内容 環境首都への道
第5章 企業の取り組み(3)
宇部興産発電所

 宇部興産発電所(宇部市小串)にあるIPP発電所の木くず燃焼設備。黄緑色の輸送管の所々は透明のガラス管で覆われ、エアを使ってハイスピードでボイラーに送り込まれる木くずが見える。昨年10月から本格稼働したバイオマス(生物資源)発電施設だ。

 植物は、燃焼時に二酸化炭素を空気中に放出するが、一方で光合成の過程で空気中の炭酸ガスを取り入れて成長しており、炭酸ガスの増減がない。そのカーボンニュートラルの特性を持つ木質チップは、化石燃料の代替品として注目されている。

 2003年に施行されたRPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)は、電気事業者に新エネルギーなどから発電される電気を一定割合以上利用することを義務づけた。このため電気事業者に電気を売る目的のIPP発電所は、主要燃料の石炭の微粉炭に約10%の木質チップを加えて混焼させている。

 チップは、建設廃材などの廃棄物を利用したリサイクル製品。長さ50ミリ以下のチップを専用ミルで平均粒径750マイクロメートル大にまですりつぶす。使用量は年間8万トンにもなる。坂田昌一プロジェクトリーダーは「石炭の代わりに10%を使うので、二酸化炭素排出量は10%削減になっている」とバイオマス発電の意義を話す。

 環境に優しいのもさることながら、石炭価格が高価格で推移している現在、割安の木質チップはコスト削減にもつながっている。ただ、同様の設備は全国に増えており、木質チップの確保が困難になっている。「木以外のバイオマスの開発、運用が課題」と坂田リーダーは考える。

 木質チップを燃料にしたバイオマス発電は、グループ内でも宇部興産伊佐セメント工場(美祢市)が自家発電用に運転し、年間約5万トンのチップを使っている。中国電力新小野田発電所(山陽小野田市)も間伐材などを燃料に先月からバイオマス発電を開始。年間3〜4.5万トンの二酸化炭素排出の削減を試算している。

 県は「エネルギーの地産地消」をうたい2001年度、やまぐち森林バイオマスエネルギー・プランを策定した。県土の7割を占め、7700万立方メートルになる森林資源。未利用とされる間伐材6万7千トン、竹林5万9千トン、廃材など17万4千トンは石油11万キロリットル換算のエネルギー量を持つ。

 発電用燃料のほか、県施設のペレットボイラーの燃料として使われるなど、有効利用が始まっている。
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