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報道年月日 |
2014/12/05 |
報道機関名 |
中国新聞 |
会員名 |
エコ市場事務局 |
タイトル |
老朽コンビナート窮地 円安誘導策 中小に打撃 周南 |
報道記録の内容 |
安倍晋三首相が衆院選最大の争点と位置づけるアベノミクス。大企業を中心に競争力を高める狙いだが、その大手が事業所を置く周南市沿岸部のコンビナートでは、機能縮小や撤退の発表が相次ぐ。急速な円安は、そこに連なる中小企業を直撃する。地域経済を引っ張ってきた周南コンビナートが揺れている。
「前から危ないとうわさはあったんだけど」。帝人(大阪市)がコンビナートに構える事業所を2017年度末までに閉鎖すると発表して約1カ月。取引がある周南市の物流会社の40代の男性社員は肩を落とす。「大きな得意先。うちもリストラに乗り出すのでは」と心配する。
帝人徳山事業所は1968年に操業を始めた。ポリエステル繊維の生産を担ってきたが、海外の低価格攻勢に押され、帝人は松山事業所(松山市)とタイの工場への機能集約に踏み切る。約100人の従業員は近隣の工場などに配置転換される見通しだ。
周南市の木村健一郎市長は「帝人と情報共有し、雇用対策も検討する」と強調する。
昨年の工業統計調査(速報値)で、山口県の製造品出荷額や加工賃収入などの合計額は6兆7879億円。前年比11.5%の伸び率は都道府県で最大。うち同市の額は、県全体の4分の1を占める。
旧日本軍の石炭燃料基地を起点に石油化学や鉄鋼、セメントなど多彩な企業が集積する周南コンビナート。ただ後発に比べて設備の老朽化が進み、規模が小さいという弱点を抱える。出光興産(東京)が3月末、57年続いた市内での石油精製から撤退したのも、こうした理由からだった。
化学メーカーのトクヤマは、多結晶シリコンの生産をマレーシアに移す準備を進めている。新規投資に動く企業はあるものの、「脱周南」の波は引かない。
アベノミクスの光と影も、くっきり浮かぶ。円安誘導の恩恵で化学メーカーの東ソーは10月、今期の業績予想で純利益を当初より60億円多い580億円に引き上げた。中小企業にはしかし、海外から仕入れる原材料価格の上昇など円安の負の部分がのしかかる。
「アベノミクスの恩恵は感じない」。樹脂製品などをコンビナート企業に納入する市内の中小企業の男性経営者は声を落とした。今夏、製品の販売価格に原材料価格の上昇分を上乗せした。「入り口と出口、両方の金額が上がっただけ」。夏のボーナスは前年より少しだけアップしたが、冬は据え置くという。
徳山大経済学部の石川英樹教授(経済政策)は「共同発電や徳山下松港の機能強化などで地区全体の製造コストを下げ、海外との競争に負けない環境を広域的な視点で構築する必要がある」と指摘する。地域経済を支える生産拠点の成長戦略をどう描くのか。転機を迎えた周南コンビナートは問い掛けている。
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