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報道記録
報道年月日 2014/12/28
報道機関名 日本経済新聞
会員名 新日鐵住金㈱ 大分製鐵所 光鋼管部
タイトル そこが知りたい戦略2015 新日鉄住金社長 進藤 孝生氏 鉄鋼の安定生産どう確保? 設備集約で稼働率
報道記録の内容 2015年度の粗鋼生産量は1億1千万㌧強と14年度並みの見通しだ。水準は高いが、製造業の海外シフトが進み、円安になれば自動車などの輸出が増え鋼材の国内需要が伸びるという構図は通用しない。鉄鋼世界2位の新日鉄住金はどう競争力を高めるのか。相次ぐ製鉄所事故で揺らいだ顧客の信頼回復も急務だ。進藤孝生社長に聞いた。
 ――新日本製鉄と住友金属工業の経営統合から2年余り。統合の進捗状況は。
 「コスト削減や生産体制の最適化による統合効果は15年3月末で年1400億円になる。統合3年目に2千億円という目標は確実に達成できる。15年度末に君津製鉄所(千葉県君津市)の高炉1基を休止する。競争力を維持するには設備稼働率を高めるしかない。旧2社の製鉄所の間で技術の相互移管も進み、生産性改善につながっている」
 ――国内生産量は維持できますか?
 「国内では年6000万~6500万㌧規模の鋼材需要が当面続く。国土強靱(きょうじん)化計画によるインフラ投資が増え、製造業も国内生産をこれ以上減らさないだろう。海外の鋼板工場への中間製品の輸出も伸びる。現在の生産水準(約4500万㌧)を減らす考えはない」
 ――米鋼板工場買収など海外生産網を整備しましたが収益貢献は道半ばです。
 「自動車用鋼板の生産量は15年に海外が900万㌧に達し、国内の800万㌧を上回る。ただ海外工場は稼働してから日が浅い拠点が多い。設備不良時の対応が遅れがちだ。それを解消するために本社部門がメンテナンスを支援する体制をつくるなど、収益向上に向けた対策に着手している」
 ――海外に製鉄所を持つ考えはありますか。
 「世界の鉄鋼市場が供給過剰状態にあるうえ、中国に3億㌧もの余剰生産能力がある。中国政府は過剰設備の削減方針を打ち出しているが、実際に設備廃棄の動きが明確にならないと不用意なことはできない。中国企業などが建造中の高炉の運営に参画することも、コストや顧客への製品供給で利点がないと難しい」
 ――名古屋製鉄所(愛知県東海市)で停電や火災が相次ぎました。
 「現場のモノをつくる力を強化する取り組みが足りないという課題が提起された。設備は製鉄所の建設当時から相当入れ替わっている。変化に対して作業手順の標準化や教育が十分だったのか。従来は製鉄所ごとに対応してきたが、今後は本社が全体を統括して人を育て仕事の仕方を変える。安全操業のための設備補修には、これまでより投資額を積み増して対応する」
『聞き手から一言』
 中国勢との戦い 時間との競争に
 日本からアジアなど海外への鉄鋼輸出量は2013年度に前年度比3%減った。中国の景気拡大が鈍化し、余った中国製鋼材が安値でアジア市場に大量流入し、円安・ドル高でも輸出を増やせない。中国では16年以降に大型高炉が相次ぎ稼働し、供給過剰は当面解消されない見通しだ。
 新日鉄住金は14年に米国で欧州アルセロール・ミタルと自動車用鋼板工場を共同買収するなど海外生産体制の構築に一定のめどをつけた。国内の安定操業と海外収益拡大で足場を固め、アジア勢の量の攻勢をかわせるか。時間との競争になる。
《進藤 孝生氏》
 1973年(昭48年)一橋大経卒、新日本製鉄(現新日鉄住金)入社。82年米ハーバード大院修了。2005年取締役、09年副社長、12年新日鉄住金副社長。秋田県出身。65歳
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