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報道記録
報道年月日 2014/12/30
報道機関名 朝日新聞
会員名 日本果実工業㈱
タイトル ふしぎ山口 県内のみかんジュース、おいしいのはなぜ? 丁寧に皮除去 苦み少なくまろやかに
報道記録の内容 搾ったままの果汁でできた、ストレートみかんジュース。県内には、これを売っている所が多い。苦みが少ない、まろやかな甘さのとりこになって飲み続けるうち、どの瓶にも同じ会社の名前が記されていることに気づいた。早速、工場を訪ねた。
萩市のJR東萩駅近くの川沿いに建つ、日本果実工業・萩工場。建物わきに止まった大型トラックが専用の装置で傾けられ、荷台から無数のミカンが一気に転がり出た。生のミカンをすぐ加工するため、ジュース作りはミカンが収穫される11月から翌年1月末頃まで。今が最盛期だ。
工場内は、甘酸っぱい香りに満ちていた。ミカンは水で洗われ、外側を蒸して柔らかくしてから外皮をむく機械へ。10人ほどの従業員がベルトコンベアーの前に並び、機械で取りきれなかった外皮を手でむいていた。加工用ミカンのサイズや皮の厚さは様々なため、機械で半分ほどしかむけない場合もある。
「皮が残ったまま搾ってしまうのが一般的。手作業で完全に外皮を取り除く搾汁(さくじゅう)工場は、まず全国でもうちだけでしょう」と、阿浜憲次工場長(57)。これが苦みの少ない味の理由だったようだ。
搾った後、遠心分離機も使って3度精製し、内側の皮や小さなつぶつぶの袋といった「パルプ」と呼ばれる部分を取り除く。ミカンの風味を消さないよう、あえてパルプの小さな粒子を残すのも秘訣。工場敷地内には容量300㌧の巨大なステンレスタンクが11基あり、そこに0~3度を保って貯蔵される。
同社は全国農業協同組合連合会(全農)グループの食品メーカー。ストレートみかんジュースのきっかけは、1990年代初めのオレンジ果汁の輸入自由化だった。同社の池田哲郎・取締役営業本部長(65)は「安い輸入果汁から国産ミカンを守るため、付加価値の高いジュースで勝負に出た」と振り返る。90年に専用設備を導入した。
輸入、国産を問わず、今も果汁100%ジュースの主流は「濃縮果汁還元」のタイプ。搾った果汁を加熱して6分の1程度に濃縮していったん冷凍。需要に応じて解凍、加水して出荷するものだ。
石津信雄・果汁農産部長(53)は「ストレート果汁の良さは、飲めばわかる。特にうちのが日本一」と胸を張る。ミカン20個前後が必要な同社のストレートジュース1㍑の小売価格は400円前後。濃縮還元のものより高めだが、全国に固定ファンを持つ。
農林水産省の統計によると、昨年の県内のミカン収穫量は1万2700㌧。全国1位の和歌山(16万8900㌧)の1割以下で、7位の広島(4万2300㌧)にも及ばない。同社のジュースのタンクも、県産ミカン専用は11基中1基のみ。県産ミカンジュースは他の産地と分けて販売している。
JA全農やまぐちによると、県内の栽培で主流の「普通ミカン」は、わせ、極わせミカンに比べて収穫時期が遅い分、木についている時期が長いので糖度が高く、コクもあるという。産地としては小さくても、まさに「ジュースどころ」。今度は、県産と県外産を飲み比べてみようと思う。
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