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報道記録
報道年月日 2015/02/18
報道機関名 日本経済新聞
会員名 中国電力㈱
タイトル 地域と企業 変容する中国電② 送電網しっかり守る 高所作業 協力会社が支え
報道記録の内容 「危険な動作をしていませんでしたか」。鉄塔を見上げるカンボジア人の技術者に、中国電力の社員が問いかける。昨年秋、同社がカンボジアで実施した技術指導。日本人による高所作業を現地公社の社員に見てもらい、危ない点がなかったかどうかを判断してもらう実践的な内容だ。
後継育成難しく
高所作業を実演したのは中国電の協力会社、田熊工業(山口県周南市)の従業員だ。本体にも技術者はいるが、大部分を担うのは田熊のような協力会社。その関係は「単に発注、受注というよりは同志」(中国電の松岡秀夫常務)だ。
電力自由化は発電と小売りに大きな変化をもたらす。変わらないのは「川中」の送配電部門だ。新電力が作り出す電力も、小売会社が提供する電気も、中国電の送配電網を使わなければ消費者には届けられない。自由化が進めば進むほど、安定供給の維持は中国電にとって重要さを増す。
 だがその体制はつい数年前まで危うかった。2000年に始まった大口需要家向けの自由化を控え、1990年代後半に電力各社はコスト削減に動いた。中国電でも大規模な整備工事が一巡し、工事量が激減。田熊の従業員も2000年代半ばには半分以下の約30人にまで減ったという。
 高所作業員は後継者育成の難しい分野だ。「10人採用しても残るのは2人」(田熊工業の田中実社長)という。絶対数が減ると、急を要する建て替えが無くても、災害時の復旧作業に対応できなくなる。11年元旦には山陰の鉄塔が降雪で曲がったこともある。
 危機感を覚えた中国電は協力会社に宣言した。「向こう30年、年間140基の鉄塔建て替え・整備計画があります」。田熊などは増員に応じた。一時は約150人まで減っていた中国地域内の高所作業員の数は230人前後まで回復。自由化を見据えてグループがコスト削減にまい進する中でも「(鉄塔整備の)この部分には手をつけていない」(松岡常務)という。
 隠岐で蓄電実験
 ただ、最近では東北の復興や東京五輪を控えた開発に人材が流れ始めた。安定した仕事量だけでは人材を引き留めにくい。カンボジアに社員や協力会社を参加させているのは対策の一つだ。「海外でも貢献できることで、モチベーションの上昇につながる」効果を期待している。
 時代の変化に応じなければならないのは技術面でも同様だ。たとえば、太陽光に代表される再生可能エネルギー。急変動する発電量をどう受け入れるか。不測の停電を避けるための仕組みが必要だ。
 昨年11月、島根県の隠岐諸島である実験の準備作業が始まった。ディーゼルエンジン発電で賄っている地元の電力の一部を、太陽光などで発電した電気をため込んで賄う。性能の異なる2種類の蓄電池を組み合わせる新方式で、国内初の実証実験だ。
 スイッチ1つで電気が使える。「当たり前」の環境を自由化後も消費者に提供するため、安定供給に磨きをかけ続ける。
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