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報道記録
報道年月日 2015/02/19
報道機関名 日本経済新聞
会員名 中国電力㈱
タイトル 地域と企業 変容する中国電③ 自由化にらみ新事業 新電力に売電や潮流発電
報道記録の内容 山口県防府市、海沿いの工業地帯に工業ガス大手エア・ウォーターの工場がある。その一角に、新しい火力発電所が2018年度にも誕生する。間伐材などの木質バイオマスと石炭を燃料に使う方式で、開発には中国電力も参加している。
 この発電所、中国電にとっては単なる再生可能エネルギー活用の場ではない。発電した電力のうち、自らの取り分を新電力に売る方針だ。従来なら自社で買い取って既存の販売ルートで供給してきた。当初から外部への転売を想定するのは初めての試みだ。
 競争原理が拡大する完全自由化は、既存の電力会社にとってもチャンスとなる。小売りへの新規参入が活発になれば、小売企業向けの電源を開発して販売するのも一つの戦術だ。グループをあげた新たなビジネスモデルづくりが始まっている。
 子会社が登録
 「中国電が面白い動きをするらしい」。昨秋初め、電力関係者の間を噂が駆け巡った。中身はすぐに明らかになった。9月下旬、子会社のエネルギア・ソリューション・アンド・サービス(広島市、ESS)が新電力としての登録を届け出たのだ。
 新電力は10電力会社とは別に、独自に電力を調達・販売して収益を稼ぐことができる。10電力が自ら新電力のグループ会社を持つのは東京電力、関西電力、中部電力に次いで4例目だ。
 ESSは新電力登録を機に、既存事業にとらわれないビジネスモデル作りを加速する。エア・ウォーターとの共同火力から電力を調達して販売することもできるし、中国地方を飛び出すこともできる。中国電グループの通信事業会社、エネルギア・コミュニケーションズ(広島市)とセットのサービスメニューを提案することも可能だ。
 ESSは事業計画について「16年4月の小売り全面自由化に合わせて小売事業を始める」とするだけで多くを語らない。だが、ESSは間違いなく、中国電の経営陣が「自由化に向けた先兵」と期待するチームだ。
 中国電は次世代事業への種まきも進めている。広島工業大学とは潮の満ち引きを利用して水車を回す潮流発電の共同研究を始めた。防波堤や橋脚に発電機を取り付ける。17年にも発電コストを従来の3分の1以下に抑えるノウハウの実用化を目指す。瀬戸内海の潮流という地域の強みを生かした事業に育てる。
 廃棄物使い水浄化
 主力の石炭火力発電所から出る廃棄物である灰を加工した物質で水質を浄化する事業も、島根県と鳥取県にまたがる中海などで始まった。火力発電所から出る二酸化炭素(CO2)を吸収させ、従来より強度の高いコンクリートも作る。技術は環境省の表彰を獲得。発電所以外のボイラーでも応用できるよう普及を目指している。
 もともと中国電は技術開発を奨励してきた。03年から本格化した特許登録件数は約3300件と、電力業界でトップ。創意工夫の素地はある。それをビジネスモデル作りに応用できるか、真価が問われている。
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