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報道記録
報道年月日 2015/06/02
報道機関名 中国新聞
会員名 宇部興産(株)
タイトル 〈新社長〉宇部興産 山本 謙氏(62) 化学事業を立て直し 付加価値で競争に挑む
報道記録の内容  化学品や建設資材、産業機械など手掛ける事業は幅広い。真っ先に挙げる課題は化学事業の立て直しだ。「一にも二にも、化学事業の収益レベルを戻すことが重要」。4月1日付でトップに就いた。
 前社長の竹下道夫会長(64)から昨年末に社長就任を打診された。入社以来、機械部門一筋。同部門の収益力を向上させた手腕を買われた。だが、課題の化学や主力の建設資材の経験は皆無だった。悩んだ末、「未経験なのは百も承知。やるしかない」と年始に受託した。
 化学部門の課題の一つは、ナイロン原料のカプロラクタム事業だ。中国などで生産が増えて供給過剰となり、価格下落が続く。そのため、カプロラクタムそのものを売るのではなく「より付加価値の高いナイロンを作って勝負する」。トヨタ自動車の燃料電池車「ミライ」の水素タンクにも自社ナイロンが使われており、事業強化を目指す。
 電解液やセパレーターを手掛けるリチウムイオン電池材料の収益力強化も課題とする。「参入企業が増える一方、需要が伸びずにしんどい」とするが、いずれ電気自動車や蓄電池の需要は増えるとみる。「自社の技術力を示し、値段勝負ではなく付加価値で競争に挑む」と力を込める。
 機械部門では、アフターサービスやメンテナンスの事業を強化し、利益を伸ばした。「宇部興産から買うといろんな相談ができる。プラスアルファがあると示したい」。今後も社全体として独自の事業やサービスを追求する考えだ。
 創業の地の宇部市で、入社から2年前まで36年間、「人生の半分以上」を過ごした。多くの社員が宇部一帯で暮らす。「技術にしろ製品にしろ、大半は宇部発。重要さは変わらない」
 2年後に創業120年を控える。日本の製造業を取り巻く事業環境の変化は激しさを増す。「変化の予測は難しいが、変化についていける企業体質をつくっていきたい」と意気込む。
 きちょうめんで、仕事の進め方がスピーディーというのが社内の評判。趣味は家庭菜園。宇部市の自宅では「野菜を買わなくて済んだ」ほどの本格派。草取りや畑を耕すとき、悩みを解決するアイデアが浮かぶという。
 現在は東京で妻と暮らし、「家庭菜園は封じられた」。代わりにジムや美術館巡りで気分転換する。
《略歴》京都大大学院工学課程修了。77年、宇部興産入社。宇部興産機械社長、専務執行役員機械・金属成形カンパニープレジデントなどを経て、4月から現職。福山市出身。
《会社概要》1897年に宇部市で創業。1942年、沖ノ山炭鉱、宇部新川鉄工所、宇部セメント製造、宇部窒素工業の4社が合併して宇部興産を設立した。資本金584億円。グループの従業員は1万702人。2015年3月期の連結売上高は6417億5900万円。
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