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報道記録
報道年月日 2015/06/11
報道機関名 読売新聞
会員名 やまぐちエコ市場事務局
タイトル 〈ズームイン〉社内英語化 世界と勝負 地方・中小も 国内に限界 活路求め
報道記録の内容  ◆猛勉強で習得
 瀬戸内海に面した日立製作所笠戸事業所(山口県下松(くだまつ)市)。約100年の歴史がある鉄道車両の生産拠点だ。戦前は蒸気機関車、戦後は電車や新幹線を送り出してきた地方工場で、急速にグローバル化が進んでいる。
 車両検査を担当する中村健示郎さん(38)は、地元の工業高校を卒業後、笠戸に就職した。「入社時には、仕事で英語を使うとは想像しなかった」と振り返る。
 日立が2005年に受注した英国の高速鉄道向け車両を担当したことが転機になった。「当時の英語力は評価不能なレベルだった」。猛勉強し、1年8か月の英国駐在も経験するうちに、英語力が身についた。今では会議やメールで英語を駆使する。笠戸の外国人研修生との会話も不自由を感じない。
 日立の売上高のうち海外事業は5割弱を占め、鉄道は柱の一つ。今年度に英国に新設する鉄道車両の工場で、現地スタッフの指導役を担うのは、中村さんのような笠戸の社員だ。
 5月には、英会話を含む2年間の研修プログラムを受けた7人が英国に赴任した。人事担当の横田光太郎さん(45)は「新入社員には『君たちも英国に行くんだぞ』とプレッシャーをかけている」と言う。
 ◆朝礼でスピーチ
 中堅・中小企業も例外ではない。
 排水処理関連装置メーカーの「アムコン」(横浜市)は国内市場の成長に限界を感じ、03年に海外進出した。しかし、英語ができる社員は1人。輸出先との交渉は外部の業者に頼らざるを得ない。現地の取引先企業にコピー製品を作られたこともあった。
 現在は、国内勤務の社員65人のうち40人が週1回以上、社内講座やオンライン講座で英語を学ぶ。朝礼では社員が英語でスピーチし、互いにコメントし合う。
 海外現時法人の外国人社員は100人を超えた。販売先は61か国に上り、売上高の半分以上を海外が占める。国内でも社員の半数は一定の英語力が業務上、必須になってきている。
 佐々木昌一代表取締役(42)は「海外のライバル企業に打ち勝つには、中小企業であっても自前の人材育成が欠かせない」と話す。
 戦後日本の経済成長を主導してきた電機や自動車などの輸出企業にとって、英語は世界を相手にするうえで欠かせないものだった。
 「英語でタンカのきれる日本人を求む」。ソニーが1960年頃に出した新聞広告は注目を集めた。「海外貿易要因」として多数の応募があり、グローバル企業への礎となった。
 日産自動車では2000年、仏ルノー出身のカルロス・ゴーン氏(61)が社長に就いた。会議では1人でも外国人がいれ、英語でやり取りするのが当たり前になった。英語力はもはや特殊な技能ではない。
 少子高齢化で国内の高成長を望めない企業は海外に活路を求める。英語との付き合いも当然広がる。だが、英語ができる社員が優秀とは限らない。英語力をどう評価すべきなのか。企業にとっては新たな課題となる。
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