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報道記録
報道年月日 2015/12/16
報道機関名 毎日新聞
会員名 やまぐちエコ市場事務局
タイトル 再生エネ買い取り見直し 太陽光偏重を是正 国民負担軽減狙う
報道記録の内容  経済産業省が再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を見直すのは、割高な太陽光発電の価格引き下げを通じて国民負担の軽減を図るだけでなく、太陽光に新規参入が偏る現状を是正する狙いもある。ただ、足元では風力や地熱などは伸び悩んでおり、今後の再生エネの大幅導入に向け、さらなる取り組み強化が求められている。
 「当初の制度設計に問題があったのが原因で、FIT導入が間違いだったわけではない」。今回のFIT見直しについて、環境政策に詳しい大島堅一・立命館大教授はこう話す。
 FITは、原発や火力発電などに比べてコストが高い再生エネの普及を促すため、国が認定した価格で電力会社が買い取ることを義務付ける制度。2012年7月に導入され、15年3月末までに発電を始めた再生エネ設備は計1875万キロワットと原発十数基分まで急拡大した。
 問題は、設置が容易な太陽光に新規参入が集中し、全体の9割越を占める異常な状況が続いていることだ。経産省は今回の制度変更で、過去に高めの価格で認定を受けながら発電しない事業者の認定を取り消したり、買い取り価格の決定時に入札制度を導入したりすることなどを通じて、価格引き下げを促す方針。ただ、それによって事業者の新規参入のスピードに急ブレーキがかかることは必至だ。
 地熱や風力などの普及も思うように進んでいない。太陽光はFIT導入前に比べて4.4倍と急伸しているが、その他の電源の伸び率はわずか4.4%。政府は今年7月、30年度の総発電量に占める再生エネの割合を22~24%とすることを目指し、電源ごとの導入目標値を設定。太陽光以外で約2倍に引き上げる必要があるが、事業化に必要な国の環境評価に時間がかかることもあり、導入スピードは一向に高まっていない。
 見直し案では、新たに2~5年先の買い取り価格を示すことで、事業者が将来の事業見通しを立てやすくするほか、環境影響評価の期間を半減するなどの改善策も示した。それでも、温泉事業者や農業・漁業関係者など「地元の同意を得られるかが最大の問題」(経産省幹部)との指摘もある。また、再生エネを結ぶ送電網の増強には巨額の設置費用が必要なほか、蓄電技術のさらなる進化も不可欠。官民挙げた普及後押し策が今後も問われることになる。
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