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報道記録
報道年月日 2015/12/22
報道機関名 日本経済新聞
会員名 山口銀行
タイトル 融資決定 現場に委ねる 山口FG、審査部廃止検討 新部署設置 過度の担保見直し
報道記録の内容  山口フィナンシャルグループ(FG)は現場に融資権限を持たせ審査部を廃止する検討に入った。現在、融資を決定する権限は審査部にあるが、これを現場に移すことでより顧客ニーズに応じた融資をする。福田浩一社長が方針を明らかにした。同社は発足10周年となる2016年に新中期経営計画をスタートさせ、新たな取り組みを相次ぎ打ち出す計画だ。
 コンサル第一に
 審査部廃止は山口FG傘下の山口、もみじ、北九州銀行で来年4月の新中期計画のスタートに合わせて実施する方針。地銀が審査部を廃止するのは珍しいという。
 新たに山口FGと3行に事業性評価部を新設することを検討している。3行の同評価部の行員が現場で顧客の声を聞いて融資するかどうか判断する。また山口FGの事業性評価部は融資する企業の業種の世界情勢などを調査、融資判断に反映させる。
 福田社長はこれまでの山口FGの経験を踏まえ「過度の担保、保証で回収できたものはほとんどない」とみており「審査部をなくすことで新たな流れができると思う。要は現場力。現場に権限を集中させていったらどうなるかチャレンジしてみたい」と強調した。
 山口FGは16年度から新たな中期経営計画をスタートさせる。テーマは「コンサルティング・ファースト」。顧客のコンサルティングを第一に据える。「貸出商品などを顧客に売り歩くような形から『お悩みはなんですか、何かお役に立つことはありませんか』との問いかけから始まるようにする。役に立つ金融機関になる」と、福田社長はその狙いを語った。
 さらにFP(ファイナンシャル・プランニング)事業部も新設する方針。個人客のライフサイクルに応じて最適な商品を提案する予定だ。
 地方創生に注力
 福田社長は傘下3行に共通する新たな人事制度の導入を検討していることも明らかにした。
 高齢化が進む中で55歳以上の職員が意欲を持って働ける制度にする考えだ。行員それぞれで働くことに対する考えや価値観が異なることから様々なライフスタイルにあう人事制度にすることを議論している。16年度にまとめ、17年4月に導入する可能性もある。
 地方創生では市町村との連携を強化する。山口県内ではすでに山口銀が下関、山口市と地方創生で包括連携協定を結んだ。21日には宇部市と締結、また22日は美祢市と結ぶ予定で、連携による自治体支援を加速させる方針だ。福田社長は「自治体のニーズがあれば連携する」と語った。
 山口FGで目下、逆風となっているのは金利低下に伴う預貸金利ざやの縮小。16年3月期の経常収益は前期に比べて減少する見込み。その中で福田社長は「中小企業の融資を徹底的にやる」と中小の成長の後押しを目指す方針を鮮明にする。
 審査部廃止も自治体との連携による産業振興もその手段ともいえる。「行内では小口の生きた貸し出しをする喜びを味わえと言っている。女性起業家や大学発ベンチャーなど小さな種を大事に育てたい」と述べた。
 新銀行の設立など新たな取り組みを意欲的に打ち出してきた山口FG。来年の10周年を新たな飛躍の節目にできるか。新戦略の効果をどう出すかがカギになる。
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