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報道年月日 |
2016/03/23 |
報道機関名 |
日本経済新聞 |
会員名 |
やまぐちエコ市場事務局 |
タイトル |
木材エネルギー利用の影で(上)チップ奪い合い 発電所増、パルプしわ寄せ |
報道記録の内容 |
木材を発電用燃料として使う動きが活発になっている。木質バイオマス(生物資源)発電所が相次ぎ稼働、未利用資源活用や建設廃材の処理に一役買っている。木材業界の救世主と期待される木質バイオマス発電所だが、製紙用パルプが不足になり、価格が高騰する弊害も出始めた。
関西で2割上昇
「いつ納入を断られるか、不安もある」。住宅の壁材「パーティクルボード」を製造する日本ノボパン工業(堺市)の山本拓社長は話す。パーティクルボードなどの木質ボードは住宅を解体したときに出る廃材を原料とする。原料のうち建築廃材が6割。住宅が建たなければ廃材も増えない。2015年の住宅着工戸数は90万戸とここ10年間で最も多かった06年と比べると3割減った。バイオマス発電所の稼働増で廃材が減る懸念もある。
チップ不足の影響はすでにあらわれている。同社の工場がある関西地区でチップの調達価格が前年と比べて2割程度上がっている。「この状況が関東に及ぶのは、時間の問題」(山本社長)だ。
紙の原料パルプにも影響が及ぶ。2月のパルプ原料となるチップ用の国産丸太価格は1立方メートル5500円。前年同月と比べて12%高い。パルプ用チップも1トン1万3800円と6%上がった。文書の電子化が進み、紙需要は減少している。日本製紙連合会の上河潔常務理事は「原材料価格が上がっているとはいえ、製品価格に反映できるわけではない」と話す。
かつて家庭や工場の燃料は薪(まき)や木炭の原料だった木材の牙城だった。1950年代、木材の需要のうち燃料用は3割を占め、木材の自給率は90%を超えていた。その後、円高や燃焼効率の良さから石油に代表される化石燃料の需要が増え、木材の燃料としての利用が減少。自給率は02年に18.8%まで落ち込んだ。
26年ぶり30%台
バイオマス発電所の増加で自給率は14年には26年ぶりに30%台を回復した。現状に不安を抱く林業関係者もいる。
「発電所に販売して出た利益を森林に還元できればいいが」──。林業家などでつくる群馬県素材生産流通協同組合(群馬県藤岡市)の内山右之助専務理事はこう話す。近隣の発電所向けに販売するため月間1000トンのチップを生産。年間3万トンまで増やす計画だ。内山専務理事は「建築向け丸太が安いため、同時に伐採する発電所向けも思ったより増やせない」と懸念する。
マレーシアなどから輸入する燃料の一つ、パームヤシ殻の16年の利用量は90万~100万トンと、15年の2倍になる見通しもある。需要増が見込まれるなか、ある商社の担当者は「生産を増やすため奥地での伐採を強いられる。不当に高い価格で買い付ける業者が増えればコスト増につながり、発電所にとってはマイナス」と語る。
▼木質バイオマス発電所 森林を間伐したときに出る間伐材や製材・合板工場から出る端材、建築廃材などを燃料として発電する。これまで廃棄物として焼却されることが多かったが、ダイオキシン規制強化で古い焼却施設が使えなくなったため、発電燃料としての活用が期待されている。建築廃材を燃料とする発電所の発電容量は2030年には現在の1割増となるとみられる。 |
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