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報道記録
報道年月日 2021/09/21
報道機関名 読売新聞
会員名 日本製紙
タイトル 「紙でできること」秘めた可能性
報道記録の内容  日本製紙は、プラスチックの代わりになる紙製の包装材や、木から作る軽くて丈夫な繊維素材など、新技術の開発に力を入れている。野沢徹社長に聞いた。

 脱プラの流れ 再生可能な資源に強み

 紙は木という再生可能な資源から作り、環境にやさしい。世界的に脱プラスチックの流れが強まるなかで、紙を活用した商品の需要が高まっています。例えば、独自開発した包装材のシールドプラスは、紙の表面に特殊なコーティングを施して湿気や臭いを防ぐため、食品や日用品のパッケージとして採用が広がっています。
 学校給食用には、簡単に開封でき、ストローなしで牛乳を飲めるパックを作りました。ストローを紙製に置き換える動きも見られましたが、そもそも使わずに済めばいい。年間700トンほどのプラスチック削減効果があり、児童が環境問題について考えるきっかけにもなります。
 「紙でできることは紙で」をテーマに、知恵を絞らなければと思います。

 <新素材では「セルロースナノファイバー(CNF)」への期待が高い。木材パルプをナノ・メートル単位(1メートルの10億分の1)の繊維に解きほぐして作る。軽く、鉄の5倍の強度を持つなどの特性がある>

 樹脂やゴムに加えると強さが増すことから、タイヤなどに使われています。また粘性や保水性を高める効果があり、口に入れても安全とあって、食品や化粧品の添加剤になります。
 最近、CNFに蓄電効果があることがわかりました。短時間で高圧充電が可能なうえ、耐熱性も高い。蓄電池としての実用化を目指します。
 現時点ではまだ、まとまった量を販売できているわけではありません。家電の外側のプラスチック部分や、車の内装やエンジン回りの部品で使われるようになるといいのですが、コストが高いなどの課題があります。
 とはいえ、CNFが様々な可能性を秘めていることは間違いない。年間500トン超と世界で最大級の生産体制を整えており、2025年には一転の事業規模にしたいと考えています。
 我々だけで使い道を考えるより、多くの人に使ってもらい、アイデアを出してもらった方がいい。他社や大学の研究機関と連携を強める必要があります。今年6月には、外部とのワンストップ窓口として社内に横ぐしを刺す新たな組織をもうけました。

 <祖業であり主力の印刷・情報用紙は需要減少が続く>

 デジタル化の進展に、コロナ禍が追い打ちをかけた格好となりました。イベントが中止になったり、オフィスでの勤務が減ったりです。コロナ禍が落ち着いても完全には元に戻らないでしょう。
 一方でデジタル機器がこれだけ広がると、逆に紙の良さが見直されているようにも感じます。例えば巣ごもり需要で料理の本や学習参考書の売れ行きが好調でしたし、マンガの単行本は、テレビや映画などとの相乗効果がうまく出るととてもよく売れます。
 チラシ広告については、ある調査によると、紙は即効性があり、デジタルは後でジワジワと効果が出るといいます。「生き残る紙、そうではない紙」が鮮明になるのではと思います。
 特にじっくり読んで考えるには紙の方がいい。私自身、本が大好きで、経営関連はもちろん、冒険小説や推理小説、マンガなど幅広く読みます。紙は絶対になくなりません。
 とはいえ、企業として需要の減少に対応しなければいけない。一部の工場で製紙ラインを止め、代わりに日用品を生産する取組を始めています。既存の設備を有効に活用しながら、生産品目を変えていきます。

<木質バイオマス発電にも取り組む>
 当社は国内に約9万ヘクタールの森林を保有しています。また、民間事業者として国内最大級の約200万キロワットの発電能力を持っています。
 国が脱炭素へとかじを切るなか、太陽光など再生可能エネルギーに注目が集まっていますが、安定性などの面で課題があるのも事実で、もっと森林の価値が見直されるべきです。木を使い、切った後に若木を植えれば、その過程で二酸化炭素を吸収していく。適切な伐採と植林は地球温暖化の抑止に大変有効な手段です。
 自社の脱炭素の取り組みも進めます。紙を作る工程ではどうしても熱源が必要で、現在は石炭や重油を使っていますが、バイオ燃料を使うなどしていきます。

<国内製紙業界は段階的に再編が進んできた。日本製紙は1993年、十条製紙と山陽国策パルプが合併して誕生した。2003年には大昭和製紙と合併した>

 父の勤めていた会社の近くに十条製紙があり、親近感を覚えて入社しました。財務・経理畑を長く歩むなか、最大の経験は2度の合併です。
 特に最初の相手だった山陽国策パルプとは、企業文化が全く違う。例えば、十条は紙の製造に使った原料などを工程ごとに把握していくのですが、山陽国策はある程度まとめて計算するといった具合です。水と油だと思いました。
 嘆いてばかりもいられない。議論を尽くして、両社の良いとこ取りになるよう努めました。経理の手法などを合わせるのに2年ほどかかったでしょうか。
 さらに転機となったのは、入社から30年以上を過ぎ、経営企画担当の執行役員になったことです。いきなりの人事で戸惑いましたが、そのころは紙の需要に大きな危機感を持っていました。会社の潜在能力を最大限生かそう。こう思い、東京本社の全役員の出席のもと、社内で眠っている研究テーマなどを担当者から直接聞いて吟味し、事業化ができそうだと判断したらその場で予算をつける委員会を設けました。社長になった今も、もちろん続けています。
 昨年から今年にかけて、長尺トイレットペーパーが脚光を浴びました。通常タイプより高密度で巻いているので長さが最大3倍となり、交換の頻度が大幅に減るほか、保管もしやすい。このほか、洗って使えるペーパータオルが清潔さや使いやすさで人気となりました。
 いずれの商品も開発現場からの提案により以前から作っていて、コロナ禍で一気に売り上げが伸びたのです。我々の技術でできることはたくさんあると感じています。
 今はまだ洋紙事業が主力なのですが、そのままでは将来はない。これから伸びる分野を見定め、事業構造の転換を加速していきます。



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