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報道記録
報道年月日 2022/03/25
報道機関名 日本経済新聞
会員名 脱炭素
タイトル アンモニア製造コスト半減 出光、24年までに新製法 発電、ガス火力より安く
報道記録の内容  脱炭素原料として注目されるアンモニアで、企業による新たな製造技術の開発が広がっている。大阪ガスなどが出資する米新興は低圧でつくる技術を開発。出光興産は2024年までに製造コストを半分程度に抑えた技術を実証する。アンモニアは現在も100年ほど前に確立した製法が主流だが、よりクリーンで安価につくる技術への転換が進んできた。


 米コロラド州の州都、デンバー。その一角に次世代のアンモニア製造技術の開発に挑む米スタートアップ、スターファイアエナジーの研究所がある。同社は従来と比べ必要な圧力が約10分の1で済む製造技術を開発、現在は1日100キログラムの生産能力を持ち、今後はさらなる大型化を目指す。
 水素と窒素から成るアンモニアは、現在は肥料などに利用されている。ただ、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を出さないため、世界的な脱炭素化を背景にクリーンな燃料としての活用に期待が高まっている。アンモニアを燃料にした発電は既存の火力発電の設備を流用しやすい利点もある。
 現在のアンモニア製造は、20世紀初頭に開発された「ハーバー・ボッシュ法(HB法)」が主流だ。化石燃料からつくった水素ガスと空気中の窒素を合成してつくる。
 ただ、途中段階で水素をつくる際にCO2を多く出すほか、水素と窒素の合成時にセ氏400~600度、100~300気圧の条件が必要で、多くのエネルギーを消費する。アンモニアの製造過程におけるCO2排出量は世界全体の3%を占めるとされる。
 製造過程の脱炭素化には現状、水素をつくる際に出るCO2を地下に貯蔵する「ブルーアンモニア」や、太陽光など再生可能エネルギーでつくる水素を使う「グリーンアンモニア」に期待がかかる。これらに加え、高温高圧の状態にする工程の改善が求められる。
 スターファイアは触媒に貴金属のルテニウムなどを使い、必要な圧力を10~30気圧ほどに下げることに成功。HB法で使う鉄触媒と比べ低圧でも反応させやすい。製造設備は複数部品を組み合わせる「モジュール化」でき、風力発電所などの近くに置いて再生エネ電力を有効活用しアンモニアを効率よくつくれる。
 再生エネ由来の電力は気象で発電量が変動するため、再生エネ電力を使う場合、アンモニア製造も不安定になりやすい。同社はアンモニアをつくるのに必要な窒素と水素を設備で循環させる仕組みを採用し、電力が減ってもアンモニア製造に支障が出ないようにした。
 同社によると、この手法でアンモニア製造過程のCO2排出量をゼロにできるという。ジョン・ロポルト社長は「アンモニアが米国の電力会社にとってゲームチェンジの燃料となる」と強調。米国の市場価格を下回る価格でアンモニアを製造できる。25年にも発電や船舶の燃料など向けに商用規模で出荷を始める。同社に出資する大阪ガスは技術面で支援する。
 日本の大手も製法開発に取り組む。
 出光興産は東芝や日産化学などと組み、水と空気から直接アンモニアを合成する大規模な製造手法を24年をメドに開発する。水素をつくる工程がなくなるほか、モリブデンなどを含む触媒を使うことでセ氏20度、1気圧で製造できる。製造時のコストやCO2排出量を既存技術を比べて半減させることを目指す。
 安価な再生エネ電力を使えば、輸送費などを含むアンモニア発電のコストを、1キロワット時あたり20円以下とガス火力発電以下に抑えられる。
 出光などは、東京大学の西林仁昭教授の研究グループが開発した水と空気から常温常圧でアンモニアを合成する手法を改良し、新たな製造手法を確立する。再生エネ由来の電力を使い、触媒などを入れた水を電気分解したところに、空気を吹き込むとアンモニアができる仕組みだ。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業」で、アンモニア製造の新手法開発としても採択された。
 出光の担当者は「水素の製造過程を省いた製法が確立できれば、CO2排出の少ないアンモニア発電の実用化に近づく」と話す。課題は製造時に使うヨウ化サマリウムの代替だ。レアアース(希土類)であるサマリウムは高価なため、入手しやすい別の素材に置き換えることを目指す。
 東京工業大学発スタートアップ、つばめBHB(東京・中央)は独自の触媒でHB法より低温低圧でアンモニアを合成する手法を開発した。製造プラントを従来より小型化でき、風力発電の近くなど設置場所を確保しやすくなる。24年にも商業運転を始める計画だ。
 日本の大手電力会社が持つすべての石炭火力発電所で燃料を全量アンモニアに切り替えた場合、CO2の年間排出量を約2億トン減らせる。国内総排出量の約2割を削減できる計算だ。JERAは21年、碧南火力発電所(愛知県碧南市)でアンモニアを混ぜて発電する試験を開始。政府はエネルギー基本計画で50年までに水素とアンモニアを電力の主な供給力などにする方針を示す。
 船舶燃料としての利用にも期待がかかる。電力分野と異なり、これまでは燃料の置き換えが難しかった。CO2を出さないアンモニアの製造技術が普及すれば、船舶燃料でも脱炭素化に向けた選択肢が広がる。

 資源エネルギー庁によると、日本国内のアンモニア需要は発電向けなどに拡大することから、現在の年108万トンから30年には同300万トンに伸びる。50年には同3000万トンまで拡大する見込みだ。膨らむ需要に対し供給が追いつかなくなる懸念がある。
 アンモニアは貿易量が少ない。経済産業省の資料によると、世界の原料用アンモニアの生産量は19年時点で約2億トンで、うち大部分が生産地で消費され、貿易量はわずか1割だ。
 将来の需要拡大に応えるには今後、新たなサプライチェーン(供給網)を確立することが必要になる。平行して、安価でクリーンなアンモニアを大量製造できる技術が普及しなければ、脱炭素社会を見据えた利用につながらない。
 アンモニアを発電燃料として利用することには慎重な意見もある。自然エネルギー財団の大野輝之・常務理事は「コストが高いため、自然エネルギーが普及している欧州ではアンモニア発電の研究は進んでいない。日本も風力発電や水素などの開発に資金を投じるべきだ」と指摘する。
 それでも日本ではアンモニア発電への期待は大きい。島国の日本は欧州と違って他国との電力融通などが難しく、再生エネが普及すると、電力需給が崩れて停電リスクが高まる懸念がある。発電量が安定するアンモニア発電が普及すれば、CO2排出量の抑制と安定電源の確保が両立できる。
 太陽光や風力の適地が少ない事情もある。政府が掲げる50年の温暖化ガス排出量実質ゼロ目標の達成に向け、アンモニアの製造技術の開発や普及が引き続き重要になる。

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